積上げ社会 building-up society 2003 9 29

 今までの日本は、積上げ(building-up)社会でした。
たとえば、そのいい例が、政府自民党です。
政策を作るのに、業界→官僚→自民党→政府という具合に、
積上げ作業で作っているので、
よく言えば、優等生的な政策、
悪く言えば、「毒にも薬にもならぬ」政策となります。
 政策を作る手順は、
業界→官僚→自民党→政府と、
政府→自民党→官僚→業界という循環のなかで、
積上げ作業をしますので、
完成した政策は、「大山鳴動して鼠一匹」となります。
手間のかかる積上げ作業で、政策を作っているから、こうなるのです。
 このようなプロセスで完成した政策は、中味も積上げ方式となっています。
たとえば、今は変更されたかもしれませんが、
数年前に問題となった、特別養護老人ホームの建設補助金が積上げ方式となっていました。
 これは、一定の用件を満たせば、国の補助金がつきますが、
この補助金が、積上げ方式でした。
本体工事費の補助基準額。
冷暖房工事費の補助基準額。
エレベーター工事費の補助基準額。
設備整備(備品)の補助基準額。
このように、たくさんある補助基準額を積上げていって、
補助基準額の総額を算出して、
その総額に対して、補助率をかけて、補助額を算出していました。
 こんな手間のかかることをするよりは、
定員50名の特別養護老人ホームには、補助金いくら、
定員100名の特別養護老人ホームには、補助金いくら、
こういう具合に決めれば、手間もかからず、迅速に事務処理ができます。
 あのように手間のかかる方法をわざわざ取るのは、
人員削減を防ぐための方法でしょうか。
しかも、経費削減にはなりません。
今は、行政改革の時代ですから、改善されたと思うのですが。
 次に、診療報酬のシステムについて。
これも、積上げ方式です。
たとえば、病気になって、医者にかかると、
初診料○○点、検査料○○点、○○料○○点、・・・・・・。
このように積上げ方式になっています。
 この方式では、初診料や再診料が、かなり安く抑えられていますので、
これでは、医者は病院を経営できませんので、
なるべく検査を増やそうと努力します。
 昔は、再診料が59点だったと思います。
1点10円ですから、590円。
これでは、とても病院の経営は成り立ちませんから、
いろいろと考えて、検査をするのです。
 しかも、このような細かい点数を積上げて、診療報酬の総額を計算して、
医療費を算出しますので、とても医者には計算ができません。
そこで、診療報酬の計算をする事務員を雇うことになるのです。
これが「医療事務」と呼ばれているものです。
よく診療所の窓口に座っている事務員のことです。
 しかし、そもそも、このような積上げ方式ではなくて、
まるめ方式の方が、手間がかかりません。
たとえば、風邪ならば、総額で何点と決めてしまう方式です。
この点数のなかに、検査料や処置料を含めてしまう方式です。
こうして病気別の点数を作っていけば、いいのです。
 こうすれば、医者一人の小さな診療所で、
医療事務をする事務員を雇う必要がなくなります。
 省庁別に問題点を取り上げてもいいのですが、
とりあえず、弊害が目立つものを例示しました。

日本は、デフレが進みましたが、依然として、高コスト社会なのです。